そして蜜月は始まる(ニカラスのお話・最終話)

2020年10月26日月曜日

【物語のカケラ】 ドレス少年世帯

t f B! P L
こんにちはー。

本日は、また「ニカラスが引越してきたお話」です。そして今回は、この「お引越し編」の最終話です!ニカラス・カナーリオは今後もお話に登場しますが(というより、今回のエピソードは顔見せで、ここからが本番!)とりあえずこのエピソードについてはひと区切り、ということになりますー。

ドレス少年・ニカラスは十二年ぶりに帰ってきたおうちで、不思議な生き物(オバケ?)に出会いました。管理小屋の人魚・アサガオちゃんと話すうち、ニカラスはその生き物の正体に近づきつつある(?)自分を感じていました……

それでは、本日もまいりましょう!



管理人さんことアサガオちゃんに、あの不思議な生き物の話を聞いたあと……ニカラスはまた、おうちに戻ってきました。日は高くなり、スラニ特有の太陽の熱と、眠たくなるようなのんびりした雰囲気が満ちてきました。


あの生き物は、亡くなったニカラスのおかあさんが、姿を変えたものなのでしょうか?おかあさんが「身体が半透明になっているむく犬」に姿を変えて、再びおうちを守っているのではないでしょうか?

一度そう思ってしまうと、ニカラスは自分の心が激しく動揺するのを感じました。


ニカラス(もし本当に、あの子がぼくのおかあさんだったら……もう一度ママと暮らせるなら、こんなに素敵なことってないと思う。でも、そんなことがあるのかな……?)

オバケ「わふ?」


モソモソした声に話しかけられて顔を上げると、不思議な生き物が不思議なしっぽを振りながら、不思議そうな表情をしていました。

ニカラス「ううん……、なんでもないの」

ニカラスは慌てて、笑ってみせました。そしてまた黙り込み、躊躇ってから言い直しました。

ニカラス「ううん……、なんでもなく、ない。……考えてたの、知りたいの。どうか答えてほしい。きみは、ぼくの……ママ、なの?」


恐れるように手を伸ばすと、生き物はパタリとしっぽを倒しました。

オバケ「わふ?

キョトンとしている生き物を見ていると、がっかりしたような、それでいてほっとしたような気持ちがせりあがってきました。舌を出して笑っている生き物は、どう見たってニカラスの優しいおかあさんではありません。そこにいるのは、ただののんきな大型犬でした。

生き物はくるりと身をひるがえし、ニカラスにおしりを向けて遊び始めました。何やら楽しそうです。覗き込んでみると、生き物は小さなおもちゃをカミカミしているのでした。


ニカラス「……あれ?これって、ぼくが子供の頃のおもちゃだね!おままごと用の、ゴムのハンバーガーだ!そうだった。スラニからお引越しした時に、ぼく、このハンバーガーをおうちに置いて来ちゃったんだ。きみ、これをどこで見つけてきたの?」

オバケ「わふっ!わふっ!」

ニカラスの質問など、どこ吹く風。生き物は目をキラキラさせて「おもちゃを投げてくれ」と、せがんでいます。

ニカラス「ふふ……。いいよ?ちょっと一緒に遊ぼうか?」




ひとりと一匹は表に出て、人間(シム)とワンコという組み合わせにふさわしく、取ってこいをして遊ぶことになりました。

一方、その頃……


浜辺の管理小屋では、人魚の管理人さんことアサガオちゃんが、のんびりとお昼を過ごしていました。


アサガオ「うふふ。ニカラス・カナーリオがすっかり大人になってて、びっくりしちゃったな。人間はわたしたち(人魚たち)と違って、あっというまに大きくなるのね?昔から愛くるしい子だったけど、とても美しくなったわ」

そう言ったあと、アサガオちゃんはふと首を傾げて、胸に手を当てました。


アサガオ「……なんだろう。胸がトクトク言っている。ニカラス・カナーリオの可愛い口許を思い出すと、幸せな気持ちになる……」

花開きかけたときめきを、アサガオちゃんは首を振って忘れようとしました。

アサガオ「おかしなわたし!大人になったとはいえ、ニカラス・カナーリオのハートはまだ子供よ。わたしがあの子に心を動かされるなんて、そんなことはあり得ないわ」


ニカラスはその午後、また雑貨屋さんに赴いて、今度は「犬用のリード」を買ってきました。それを不思議な生き物につけてやり、一緒にお散歩したのです。

オバケ「わふ!わふ!」

ニカラス「ん?どうしたの?……そっか、楽しいんだね。ふふ、ぼくも楽しいよ?一緒に歩くヒトがいるのって、気持ちがいいものだもんね?」


この生き物と一緒に過ごしていると、ニカラスの心はこのうえなく安らぎます。それは、たとえば「寒さで凝り固まった筋肉が、暖炉に当たるうちにほぐれてゆくような」心地よさです。

ニカラス(この子がママだったとしても、そうじゃなかったとしても、そんなことは大した問題じゃない気がする。謎はいつか解けるのかもしれない。そうじゃないかもしれない。でも、そんなの本当は、どっちでもいいんじゃないかな?今、思うことは……ぼく、この子が好きだな)

ごく自然に、ニカラスはそう思いました。


ニカラス「……これからも、ぼくのそばにいてくれる?」

オバケ「わふ!」

甘い声でそっと尋ねたニカラスに、生き物は自信を持って答えました。

ニカラス「ありがとう。ずっと一緒に過ごそうよ。ぼく、きみを大事にするね。エンジェル」

オバケ「わふ?」


耳慣れぬ「エンジェル」の言葉に、生き物は首を傾げました。

ニカラス「ぼく、きみをそう呼ぶって決めたの。きみの名前は、今日から【エンジェル】。ぼくがきみをその名前で呼ぶ限り、ぼくときみは友達なんだ」

生き物の瞳が急激に輝いて、その透き通った毛並みが、喜びにきらめいたように見えました。


ニカラス「これからよろしくね、エンジェル!……さあ、ごはんにしようよ。それから海に繰り出して、波打ち際で遊ばなきゃ。ぼくたちふたりとも、スラニの子なんだもの!」

エンジェル「わふ!」

ニカラスとエンジェルの新しい島暮らしは、こうして幕を開けたのでした……!

【ニカラスの引越しエピソード・完】


本日までニカラスのお話にお付き合い頂き、ありがとうございました!一度でもお読みくださった方、ページをちらっと開いてくださった方、SSを気に留めてくださった方……皆様にお礼を申し上げます。

次回のお話は、少し先。また別のエピソードでお目にかかります……!

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