誰もいない家のオバケ

2020年10月17日土曜日

【物語のカケラ】 ドレス少年世帯

t f B! P L
こんにちはー。

本日は、また「ニカラスが引越してきたお話」の続きですー。
ドレス少年ニカラス・カナーリオが、スラニの島に移り住んできた日。ニカラスは旧知であるハンナちゃんたちとの再会を喜び、「行方不明」になっているエヴァーブルー・ブレイクについての話を聴いたりもしました。そして少年は、ついに子供時代を過ごしたおうちに帰ってゆきます……

それでは、本日もまいりましょう!



ニカラスは灯台荘をあとにして、町のほうへやってきました。ニカラスが子供時代におかあさんと過ごしたおうちは、タウンの奥まったところにあるのです。


ニカラス「わぁ……!おうち、全然変わってないねぇ!むかしにタイムスリップしたような感じがする。でも、それは違うよね。管理人さんたちがみんなで手を入れてくれたから、こんなに元通りになったんだもん」

おうちを見上げて、ニカラスは喜びに浸りました。


デッキに上がってトランクを下した時、ニカラスの胸に突然「心配な気持ち」が持ち上がってきました。「誰もいないはずのおうちのなかに、誰かがいるのではないか?」そんな気持ちが、脈絡もなく湧き起こってきたのです。ニカラス自身も気づくことができないほどの小さな物音を、ニカラスの耳が感じ取ったのかもしれません。

ニカラス「……やっぱり、ハンナちゃんに一緒に来てもらえばよかったかも」


ちょっぴり躊躇ってから、ニカラスはドアをノックしてみました。トン、トン、トン……。当然、返事はありません。ニカラスはカギを差し込むと、思い切ってノブを引きました。


ソファー、テーブル、テレビ……。暮らしに必要なものは、既にお部屋に運び込まれていました。ニカラスはぐるりと見回して、カウンターの下も覗き込みました。誰もいません。


ベッドルームも覗きました。誰もいません。それでもなんだか安心できずにソワソワして、お庭も見てみることにしみました。そこで……


ニカラスは、不思議な生き物に出会いました。

ニカラス「え……?」


ニカラス「オ、バケ……?それとも天使……?」

オバケ「わふ?

不思議な生き物(?)が、機嫌よく首を傾げました。

生き物が持つのんびりとした雰囲気に、ニカラスは拍子抜けしたような気持ちになりました。どうしたらいいかわからず、もじもじしながら背中を向けて、おうちのなかに逃げ込みました。


すると、生き物もトコトコと、ニカラスについてくるのでした。ドアを閉め忘れたのかと思いましたがそうではなく、生き物は壁を突き抜けて、どこへでも歩いてゆけるようなのです。

ニカラス「……やっぱり、オバケなのかなぁ」

奇妙なことに、怖いとは思いませんでした。


ニカラスが荷解きをしたり、おなかがすいてごはんを作ったりしている間も……

オバケ「わふ」

生き物はゆったりとそこにいて、まるで自分の家で過ごしているみたいにくつろいでいるのです。


ニカラス「きみは、ずっとここにいるの?ひとりで?」

オバケ「わふ?」

ニカラス「……おなか、すいてる?」

オバケ「わふ!」

ニカラス「わかった。待っててね!」


ニカラスはひとっ走り雑貨屋さんに赴いて、ドッグフードとペット用のお皿を調達してきました。

ニカラス「あれ?そもそも、オバケってごはんを食べるのかなぁ」

少年が半信半疑でフードを用意すると、不思議な生き物は不思議なふさふさのしっぽを振って、夢中で食べ始めました。まるで、ずっと物を食べていなかったみたいな食欲です。


ニカラス「ふふ……。ぼくが用意したごはんを食べてくれるヒト(?)がいるって、素敵だね?」

ニカラスは、そっとほほえみました。

つづきます!


Thanks to all MOD/CC creators and all builders!

(ポーズは、自作です……)

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