こんにちはー。

本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
悩みと混迷を超えて、ついに「人(シム)に助けを求めること」を始めたロイヤル。その体調は優れなくても、彼の瞳は明るさを取り戻していました。そんなロイヤルの許に、実家のお屋敷から、使い魔のカラスが派遣されました。黒い翼がもたらすものは……?

それでは、本日もまいりましょう!



ロイヤルは、窓の外に目を向けました。おうちの外側の柵に、カラスが一羽、神妙な顔をして留まっています。

ロイヤル「あれって、屋敷の使い魔だ。……え?何だ……?」

ドッグフードを二粒握り、ロイヤルはお庭に出て行きました。


ロイヤル「……長旅、お疲れさん。どうした、手紙でも持って来たのか……?

そう話しかけながら、ロイヤルはちょっと苦笑しました。【手紙】という言葉によって、前日の【電報騒ぎ】を思い出したのです。ポーラスターが倒れた、というグリフィンの渾身のウソに踊らされたロイヤルの慌てぶりは、今思うと味わい深いものがありました。

カラスはロイヤルを見上げ、くわえていた包み(それは、紙袋をふたつに折りたたんだ物でした)を差し出しました。

ロイヤル「おれに?」


紙袋をひっくり返してみると、隅のあたりにひん曲がったような筆跡のサインがあることに気づきました。その名は、勿論……グリフィン・トワイライト

ロイヤル「グリフィンが、朝になったらおれに何か【届ける】って言ってたの、こういうことか……!」

まず、握っていたドッグフードをカラスに食べさせ、ロイヤルは使い魔を労いました。それから、紙袋の口を塞いでいたテープをバリバリと破って、荷物と対面しました。


中身は、余り物の紙を切り抜いたようなカードが一枚。
そして、黒っぽい小ビンでした。


ロイヤルは知らないことですが、それは今朝早くに遠い森の温室で、ポーラスターが【煮沸しておいた】と話していた、あのボトルでした。今はガラスのなかの小さな空間に、とろりとした銀色の液体が揺らめいています。


【薬品用ボトルの調達に、ポーラスターが手を貸してくれた。彼女に感謝を】

カードは、このような書き出しで始まっていました。前置きのない唐突さがいかにもグリフィンらしくて、ロイヤルはニヤリとさせられました。

ロイヤル「……カードには、こう書いてある。グリフィンはポーラスター姉さんと一緒に、今日の昼前のバスで森を離れるって。渋滞にさえハマらなきゃ、夕方ウィンデンブルグに着く便だ。そこからストレンジャービル行きに乗り換えるから、家に着くのは夜になるって。……ちょうどいいや。おれも今日はウィンデンブルグに行くんだし、あっちで出迎えようっと」


ロイヤル「……で、こっちのボトルについても書いてある。中身は【魔力を精製した薬】らしい。おれが失った分の魔力を少しでも補給できるように、グリフィンと姉さんが、屋敷の研究機材を使って煮詰めてくれたんだ。……コレ、材料は何だと思う?グリフィンの髪だよ。髪は魔力の放出機関だから、逆に言うと、髪のなかには多くの魔力が含まれてるんだ。魔力の強いグリフィンなら、尚更。……うわー。これだけの分量の薬を作るには、随分バッサリ切ったんだろうな……?」

ロイヤルはおそるおそる栓を抜いて、ボトルの口に鼻を近づけました。

ロイヤル「……ほんとだ。手紙の通り、ライムの香りがする。姉さんのアイディアで、飲みやすくするために柑橘を搾ってみたんだってさ。なんか……いろんな匂いが混ざって、ますます世紀末的な匂いになってる気もするけど……ははは!」


ロイヤルは笑い出しましたが、それで薬品の刺激臭を思いきり吸い込んでしまい、最後には少々咳きこみました。クシャミなどもまじえながら、泣いてるんだか笑ってるんだかわからない状態になり……七転八倒したあとで、気持ちが鎮まりました。

二分の間、彼はしんみりとして、何も言いませんでした。しかし、彼の瞳は言葉以上の雄弁さで、兄姉への感謝を語っていました。

「ポン」と自分の太ももを叩いてから、彼は大切そうに、小ビンを掌に包みました。


ロイヤル「配達ありがとう。さあ、おまえの役目は終わったよ。おまえも、気をつけて帰るんだぞ?」

そう言ってカラスの頭を掻いてやり、ロイヤルは使い魔を飛び立たせました。黒い翼は見る間に遠ざかり、空のかなたに吸い込まれて行きました。

ロイヤル「……グリフィンとポーラスター姉さんの薬を飲むのは、おれが本当に危なくなった時にする。それまでは、大事に持っておくよ……!」

静かな朝。
しかし、運命の時は音もなく近づいていました……。

つづきます!


今回のポーズ

SSの8枚目(ポーラスター、イメージ)

以上1枚のポーズは、
よりお借りしました。いつもありがとうございます。

(その他のポーズは、自作です)

今回も、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
Thanks to all MOD/CC creators and all builders!


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