こんにちはー。

本日はまた「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。

フォレスティーナがロイヤルに飲ませた「謎のハーブ」の正体は、ついにわかりました。しかし、梟の刺青の謎はいまだ解かれず、ロイヤルは原因不明の瞬間移動を繰り返しています。一方、グリフィンはハンナ・ミナキの助力を得て、手がかりとなる書物のありかを知りました。そして……?

それでは、本日もまいりましょう!




(前回、お話のなかの時間は正午過ぎまで進みましたが……、ここで一旦、時計の針を朝に戻します)

どこか遠くの森の奥、ノーマン一族のお屋敷では、グリフィン・トワイライトが古めかしい書物を紐解いていました。その本は、もしかして……。

グリフィン「ハンナ・ミナキが言っていた本だ。【喪失の思索・下巻】。彼女の言葉通り、Bの5番の書架付近から出てきた。ポーラスターと一緒に発掘したんだが、Bの5番の棚そのものからは見つけられず、近くの棚にもなかった。ポーラスターは脚立に乗って、書架の上まで覗いてた。そして、脚立の隙間に指を挟んだ。……大丈夫だ。幸い、たいしたケガじゃなかった。打つ手が尽きたあと、もしかしたらと思って書架の下を覗き込んだら、この本が一番奥で埃をかぶってた。どうでもいい話だが、この本(喪失の思索)の上巻は、行方不明のままだ」


(ポーラスターは指に薬を塗ったあと、おなかがすいたと言ってキッチンにおやつを食べに行きました。ちなみに、彼女が脚立に挟んだのは左手です)

グリフィン「子供の頃のハンナが、この本を読もうと思った、ということのほうに驚かされる。半分以上が精霊文字で書かれてるだけではなく、普通の文字で書かれてるところも古語。重要なところは精霊文字で書かれてる上に、文字列が意味をなさず、頭痛がしてくる。ロイヤルあたりが読んだら、吐くだろうな……」

そう言って、グリフィンはちらりと笑いました。ロイヤル坊っちゃんは、読書が苦手だそうです。
まぁそれ以前に、坊っちゃんは精霊文字が読めないのですけれども。

グリフィン「…………。なんとなく思い出す。おれが子供の頃読んだのは、確かにこの本だ。その時は、精霊文字のところは理解できなかったんだが。この暗号、【3の倍数】番目の文字だけを読めばいいのか……?違うな。3の倍数と7の倍数の文字を読んで……、且つ21の倍数の文字を読まない。これで合ってる気がする……」

………………。
なんか、見る間に物凄い解読をしています。
流石は、ノーマン一族の天才児。

そしてグリフィンは、淡々とした声で読み上げました。


グリフィン「……【梟の紋章】とは、ある特殊な軍事魔法の起動装置として発明されたと語られている。隠密行動に特化した魔法と伝えられるが、詳細は不明である。広義における魔法陣の一種である彼(か)の紋章を背負ったのは、歴代の一族の者のなかでもただひとり。その唯一の者とは、我ら一族の始祖であるライオネル・トワイライトの腹心の部下。のちに始祖の妻となり、一族に連なることになった魔女である……」

グリフィンは一度本を閉じて、難しい顔をしました。


グリフィン「ライオネルの妻……。彼女について、現代に伝わっていることは多くない。名前さえ、長い時間のなかで失われてしまった。わかってるのは恐らく【彼女が、ライオネルに殺された】ということだけだろう。ライオネル・トワイライトは自らの強力な魔力に押し流され、妻と妹をむごく殺した……、【大河川のライオネルの歌】という英雄詩の、重要な場面だ」

…………。
一方、ストレンジャービルでは……


なぜかエルウィンくんのおうち(それも、PCやってたエルウィンくんの真うしろ)に瞬間移動してしまったロイヤル坊っちゃんが、エルウィンくんの素朴な疑問を浴びていました。

エルウィン「ロイヤルいつ入ってきて……!いやそれより、昨夜はどこ行ってたの?連絡ないから、心配してたんだよ……!」

ロイヤル「え。あ、えーと、なんかいろいろごめん……」

エルウィン「でも、きみが元気ならよかった!あ、朝ごはん食べてく?オイルサーディンの缶詰を開けようと思ってたんだ。オリーブと合わせてパスタにしようと思って。ちょっと昼ごはんみたいだけど、おなかぺこぺこでね」


ロイヤル「あ……、ありがとう。でも、おれはいいや。エルウィン、申し訳ないけど頼みがあるんだ。今日もトトを預かってくれないか?フードはおれの家の地下にある。これ、家のカギ」

エルウィン「え?勿論構わないけど……」

ロイヤルはトトをくしゃくしゃと撫でたあと、しきりにお礼を言いながら、慌ただしくエルウィンくんのおうちを出ていきました。彼が何か急用を思い出したことは、明白でした。


おうちのポーチを足早に下りて……


まじめな顔をして、あたりの様子を伺います。
横断歩道を渡る時のように、右を見て左を見て右を見て、最後にうしろを振り返って、ドアに嵌められたガラスからエルウィンくんが見ていないことを確かめます。

ロイヤル「もしかしたら……今の瞬間移動で、わかったことがあるかもしれない。やってみたいことがあるんだ。……よし、誰もいない」

ロイヤルは身体をひねって腕をまわし、右手を自分の背中に当てました。目を閉じ、ハッキリした声でつぶやきます。

ロイヤル「ユキ・ベーア

途端に、ロイヤルの身体が白い光に包まれました。光は音もなく膨れ上がり、また収束して……


気がつくと、坊っちゃんは見知らぬお部屋に立っていました。
朝の光が差し込むなか、ユキちゃんがベッドですやすや眠っています。

ロイヤル「思った通りだ……。この梟の刺青の仕組み。おれ自身が、刺青に手で触れながらシムの名前を言うと、そのシムの居る場所に瞬間移動するんだ。最初にストレンジャービルのおれの家に移動した時、おれは家にいるトトの名を口にしてた。グリマーブルックに移動した時は、ペシミスティ・ミスティスワンプについて独りごとを言ってたはず。そして、さっきエルウィンのとこに移動した時も、エルウィンのことを言っていた。最初の瞬間移動の時……寝てる間にウィンデンバーグの池に移動したのだけは、ちょっとよくわからないけど」

興奮気味に言ったあと、ロイヤルはユキちゃんを揺すり起こしてこの発見を伝えようと、手を伸ばしました。が、そこで急に気がついて、動揺しました。

ロイヤル「う……。ここ、ユキの部屋だよな……?女の子の部屋に移動した、のか……?瞬間移動を試そうと思った時、真っ先にユキの顔が思い浮かんだんだけど……まいったな。眠ってるとは思わなかったんだ。もう朝だし……」

自分でやったこととはいえ、困惑している坊っちゃんの足元に、大きな生き物がやさしい足取りでやってきました。ユキちゃんのわんこ、トゥインクルです。


トゥインクルはロイヤルを見上げ、舌を出して笑ってみせたあと、クンクン言いながらユキちゃんの脚に前足を載せて、起こしてくれました。

ユキ「え?何、トゥインクル……。もう時間なの……?ぅわ、ロイヤル!?!?

ロイヤル「え!?う、えーと、ごめん……!」


ユキ「やだ!!わたしもしかして、ノックしてもらったのに起きなかった……?あーもう、どうしよう!今日は朝早く目が覚めたから、PCでゲームをして遊んでたの。そしたら、6時くらいに眠くなっちゃって、学校行く前に二度寝しておこうと……!お、お洋服……!よかった。パジャマ姿じゃないのが、せめてもの救いだった!」

ロイヤル「わかったから、ユキ。落ち着いて。謝らなきゃいけないのはおれのほうだし、ユキに話したいこともあるんだ」


…………。
そんな訳で。

坊っちゃんは、ごく簡単に「自分がここにきてしまった理由」を説明しました。

ユキ「魔法……?ロイヤルは魔法で、わたしの部屋にとばされてしまったの?あ、そういえばロイヤル、雪の夜に池に居たことがあったよね。もしかして、あの時も?」

ロイヤル「えーと、池の時はともかく、今回はとばされてきたと言うか、自分でとんできたと言うか」

ユキちゃんは一度時計を見てから、励ますようにロイヤルの肩を叩きました。

ユキ「まだ学校に行くまで、時間がある。ロイヤル、階下(した)でお茶を飲もうよ。たぶん、ロイヤルは重要な話をしようとしてる。わたし、その話をちゃんと聴きたい」

つづきます!



今回お借りしたCC・ポーズ

ポーズ・本アクセサリー
Kiruluvnst

本リテクスチャー

その他、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!


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