こんにちはー。

本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
フォレスティーナ(本名は、リノ)の襲撃を退けたのち、ユキちゃんの無事を確かめるために旅立ったロイヤル。夜通し歩いた彼は、ウィンデンバーグで「何ひとつ変わった様子のない、健康そのものの」ユキちゃんと再会します。そして……?

それでは、本日もまいりましょう!




ロイヤル「ユキ、会えてよかった。捜してたんだ。何かあったんじゃないかと思ってた」

ドッと押し寄せる安堵のなかで、ロイヤルはそう言いました。

ユキ「え?何かあったって、何が?わたしは全然元気だよ!それより、ロイヤルのほうが大変。ロイヤルまた、びしょ濡れになってるじゃない!」


そう。ロイヤルはストレンジャービルを発つ時に、荷物に傘を入れ忘れたのです。
坊っちゃんは傘やお弁当箱や帽子などを、よく忘れる少年です。


ロイヤル「このくらい、平気だよ。いいから、傘はユキが差してろって」

ユキ「ううん、待ってて。ハンカチあるの。……こっちじゃない、左のポケットだった」

ユキちゃんはロイヤルに傘を差しかけて、自分のハンカチ(それは、白とブルーのボーダー模様の可愛いものでした)で、ロイヤルの髪を拭こうとしました。ユキちゃんの手がロイヤルの髪に触れた瞬間、不思議なことが起こりました。ロイヤルの髪のひとふさが「ばちんっ!」と音を立て、その身体が白い光を放ったのです。

ユキ「えっ……!?何が起こっ……!

ロイヤル「…………!!まずい。ユキ、おれの頭から手を離せ!

音もなく膨れ上がる光のなかで、手を伸ばした恰好のまま、うしろ向きに倒れそうになるユキちゃんの姿が、ロイヤルの目にも見えました。ロイヤルはぞっとして、とっさにユキちゃんの手首を掴み、ぐいと引っぱって立ち直らせました。

白い光が収束し、元の明るさの世界が戻ってきます。
ロイヤルとユキちゃんは向かい合って、石造りの街に立っています。


ロイヤル「ユキ、大丈夫か……!?今の、何が起こったんだ……!」

ユキ「…………!」

ユキちゃんは零れ落ちそうなほど大きく目を開き、何かとても恐ろしいものを見たとでもいうように、ロイヤルを見つめています。

ロイヤル「ユキ……?」

ユキ「ロイヤル、フォレスティーナに会ったの?

だしぬけに、ユキちゃんがそう尋ねました。

ロイヤル「え……?」

ユキ「今、ロイヤルの頭に触れたら、何かが手から流れ込んできたの。目に見えない波がすり抜けていくみたいだった。そのあと白昼夢のように、わたしが見たことのない景色が見えた。赤土とサボテンの、砂漠の町。夜だった。ロイヤルがそこに居て、フォレスティーナも立ってた。フォレスティーナの手には、ナイフ。彼女は映画のアクションスターみたいに跳んで、ロイヤルのほうへ……。ロイヤル、フォレスティーナと争ったの?」

真っ青な顔をしたユキちゃんにそう言われて、ロイヤルは絶句しました。目をしばたたき、自分の頭を手で支えるようにして、気持ちを落ち着かせます。

ロイヤル「……怖がらせてごめん。おれとユキに何が起きてるのかわからないけど、ユキが視たのは確かに、昨日の夜おれが体験した光景だと思う。おれの魔力が、ユキに流れ込んでるのかな。魔法使いじゃないシムは、魔力を取り込むと酔うって聞いたことがある。ユキ、大丈夫か……!?」

ユキ「大丈夫だよ!わたしは大丈夫だけど、ロイヤルのこと怖くなんかないし、わたしは全然大丈夫なんだけど!」

ユキちゃんは顔をゆがめ、今にも泣き出しそうに見えました。傘を持ち上げている気力もなくなってしまったというように、すとんと腕を下ろしてしまいます……。


ユキ「フォレスティーナが居ないの。昨日の夜、ごはんを作りすぎちゃったから、フォレスティーナにおすそ分けしようと思って、ボートを出して小屋に行ったの。でも、留守で。……たまたま森にお散歩に行ってるのかなと思って、その時はあんまり気にしなかった。昨夜はお月様が明るかったし、フォレスティーナは森が好きだから。……でも、なんだか気に掛かってきて、今朝もう一度訪ねてみた。そしたら、やっぱり居なかった。それで一応、ロイヤルに電話して知らせようって、そう思ってたところだったの」

ロイヤル「…………」


ロイヤル「……ユキが視た通り、おれは彼女に襲撃された。彼女が、小屋に戻ってくるとは思えない。逃げたか、潜んだか、どっちかだと思う。おれ、彼女が小屋に居ないって聞いて、正直ほっとしたんだ。彼女がおれを襲ったあと、ユキを狙うんじゃないかと想像して怖かったから。彼女と関わりがあるシムは、おれが知っている中では、おれとユキだけだしな」

ユキ「わたしを、狙う……?で、でもフォレスティーナは、わたしにとても優しかったよ?ロイヤルだって、フォレスティーナと仲良しだったよね?どうして、彼女はこんなこと」

ロイヤル「彼女には、秘密があるんだ

そして、ロイヤルはついに、ユキちゃんに本当のことを全部話しました。
ロイヤルが夜ごと夢に見る、不思議な魔法使いたちの物語のこと。その魔法使いのひとりが、フォレスティーナ本人であったこと。彼女たちの破滅と、戦争らしき出来事のこと。彼女の本当の名前が「リノ」であることなどを。


ユキ「戦争……?魔法使いたちがヴァンパイアと戦った戦争……って、恢復戦争(かいふくせんそう)のこと?今から四百五十年くらい前に、暗黒時代を終わらせた英雄たちの?学校の授業で習ったことがある……」

ロイヤル「まだわからないけど、おれも、あれは恢復戦争じゃないかという気がしてる。おれはフォレスティーナ……リノの記憶を視るという形で、史実を目にしたんじゃないかって。初めて打ち明けると思うけど、おれの祖先は恢復戦争を戦った魔法使いなんだ。ライオネル・トワイライトって言って」

その言葉を聞いて、ユキちゃんがちょっと咳きこみました。

ロイヤル「?……どうしたんだ、大丈夫か?」

ユキ「どうしたのじゃないよ、びっくりしたの!ライオネル・トワイライトくらい、世界史を選択してる高校生なら、誰でも知ってるもん!子孫が生きてるなんて、知らなかった。それも、こんなに近くで!」

ロイヤル「え、あぁ、うん」

おもはゆいと感じたのか、ロイヤルはこめかみを掻いて、間が抜けた返事をしました。

ロイヤル「それで、おれの夢のなかに出てきたリノ……フォレスティーナが仕えてる相手が、軍を率いる魔法使いだったんだ。すごく強力な魔力を持ってる男だった」

ユキ「うん。……そうか。ライオネル・トワイライトは、解放軍の総大将だよね?」


ロイヤル「そう。おれの夢のなかでリノが仕えていた男……それは彼女の夫でもあった訳だけど、あの男はもしかしたらライオネル・トワイライトだったんじゃないかって、おれはそう思ったんだ。まだ推測の域を出ないけど」

ユキ「顔を見たり、名前を聞いたりしなかったの?その、ロイヤルの夢のなかで」

ロイヤル「見なかったし、聞かなかった。顔を見たとしても、本人かどうかなんてわからないしな?ライオネル・トワイライトの肖像画は、どこにも残ってないんだし。ついでに言うと、ライオネルの妻の名前も、現代には伝わってないんだ。だから、リノという名前は、彼女の正体を知る手掛かりにならない。四百五十年前を生きていたはずの彼女が、なぜ今ここに居るのかもわからない」

ユキちゃんは頬の筋肉をこわばらせ、じっと自分の膝のあたりを見つめました。

ロイヤル「はは……。信じられないよな?いきなり、こんな話をされても。娯楽映画みたいな話をしてると、自分でも思うしさ」

ユキ「ううん、そうじゃないの。あ、そうじゃないっていうのは……映画みたいだっていうのは、わたしもそうだと思うし、何が起きているのかわからない気持ちは、勿論あるけど。……でも、わたしが考えてたことは、そうじゃないの」


ユキ「ライオネル・トワイライトの妻が恢復戦争でどうなったか、高校の資料集に書いてあったの。英雄詩の抜粋が載っていて。彼女は……死ぬ、んだよね……?」

ロイヤル「…………」

流石に、ロイヤルは黙り込みました。

ロイヤル「……うん、そう伝えられてる。【ライオネル・トワイライトは自らの強力な魔力に押し流され、妻と妹をむごく殺した】って。おれの夢のなかの男……リノの夫は、過去に自分の妹を殺した、という罪の意識に苛まれてた。そしておれは……、リノが覚悟を決めて出陣する日の光景を視た」

ユキ「フォレスティーナは、死ぬの?

ぽつりと言ったユキちゃんの声は、それを一番恐れているという響きでした。

ロイヤル「……わからない。決定的なことは、まだ何も」

ユキ「それとも……、英雄詩に歌われていることなんか嘘で、フォレスティーナは生き延びていたの?暗黒時代から、永い時を超えて……?」

ユキちゃんの声に、願いのようなものが混じりました。

ロイヤル「わからない。ただ、もしユキが今言ったことが事実だとしたら、それこそ夢みたいな話だという気はする。……おれ、バイトの時間だ。行かなきゃ。ユキもあまり遠くには行くなよ?リノがおれを狙ってユキを狙わない保証は、どこにもないんだし」

ユキ「……怖いよ」

ロイヤル「大丈夫だよ、おれがユキを守るから。一度闘った感じだと、うしろから刺されでもしない限り、何回やってもおれが勝つと思う」

ユキ「そうじゃなくて、」

ユキちゃんはそこで言葉を切り、キュッとこぶしを握りました。


ユキ「何が起きてるのかわからないのに、状況は悪くなっていく気がする。底の見えない穴のなかに、落ちていくような感じがするの。わたしはただ、ロイヤルもフォレスティーナも、無事でいてほしいだけだなのに……」

ロイヤル「…………」

つづきます……!



本日も、ちょっとわかりにくいので詳細を記録させて頂きます。
今回のポーズのうち、

SSの6枚目(ベンチにすわってるふたり)、7枚目(ベンチにすわってるふたり)、9枚目(ベンチのユキちゃんアップ)、10枚目(ベンチにすわってるふたり)は

新生まるきぶねスローライフ

よりお借りしております。
いつもありがとうございます!

また、SSの3枚目は、自作ポーズです。(既出のもの)
(手をかざしてるユキちゃんのみ、ポーズ導入)

1枚目、2枚目、4枚目、5枚目、8枚目は、ポーズ不使用です。
(あ、いえ、8枚目はそもそもシムではなく、風景写真ですが……)

今回も、多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!

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