こんにちはー。

本日も「ロイヤルと裸足の魔女編」をお送りします!

ウィンデンバーグ郊外で「むかし飼っていた犬とそっくり」な大型犬を見かけて、なぜか激しく動揺するロイヤル。

出会ったその犬は、ロイヤルの新しい友達・ユキちゃんのペットでした。一方、シムたちが寝静まった深夜、ウィンデンバーグのとある池で、人知れず眠りについている不思議な女性シムが居て……?

それでは、本日もまいりましょう!




季節は冬。
ウィンデンバーグの孤島。

鍵のかかったとある山小屋に、初雪の気配が近づいていました。


昼を過ぎてもとけない霜で、山小屋の庭はうっすら白くなっています。その庭先で、ユキちゃんとトゥインクルがのんびりした時間を過ごしています。


草を踏みしだく音がして、ふたりのところに、ロイヤルがもどってきました。

ユキちゃんがバネ仕掛けのように起き上がり、笑い声をあげながら、トゥインクルの頭を撫でてやります。

ロイヤル「ユキ、こんなところで昼寝してると風邪ひくぞ?」

ユキ「ロイヤル、おかえり。ふふ、空気が澄んでるから寝転んでみただけだよ。ゴミ箱、見つかった?」

ロイヤル「うん。この山小屋の向こうに小さいロケット小屋があって、ハンバーガーの包み紙はそこのゴミ箱に捨ててきた」

ユキ「ごめんね。トゥインクルのお散歩に付き合ってもらっただけじゃなく、雑用係までやってもらっちゃって」

ロイヤル「はは、別にいいよ。きょうはバイトも早番で、昼には上がってたワケだしさ」

いつのまにか、ロイヤルとユキちゃんはすっかり仲良くなりました。


ユキ「この山小屋はね、もう十年も空き家なんだよ。ファーザーウィンターが夏の休暇を過ごすために使ってる小屋だ……ていう伝説が、ウィンデンバーグの子どもたちの間で語り継がれてきた。わたしも信じてたな。だって、ファーザーは必ず冬祭りに現れるけど、普段どこに住んでるのかわからないでしょ?こういう、森のなかの小さな小屋に住んでいそうな気がしない?」

ロイヤル「……そうなのか?」

ユキ「あれ。ロイヤルだって、ファーザーウィンターには会ったことはあるでしょ?」


ロイヤル「いや……、覚えてる限りでは、一度もないかな。おれの実家はすごく遠いとこにあるし、ファーザーウィンターもたどり着けないんじゃないかと思う。冬祭りには、母さんや姉さんからプレゼントをもらってたんだ」

ユキ「ファーザーじゃなくて、ご家族が用意してくれるの?それもすてきだね」

ふたりはトゥインクルを連れて、森のなかを歩きはじめました。


坊っちゃんも、トゥインクルにおやつをあげます。


ユキ「ロイヤル?」

トゥインクルを見つめたまま黙り込んでしまったロイヤルを、ユキちゃんは横から覗き込みました。彼女は五秒も待ったあと、尋ねました。

ユキ「ロイヤル。なにを考えてるか、訊いてもいい?」

ロイヤル「え、あ、ごめん。考えることがいっぱいあって、ちょっと頭がとんでた」

ユキ「ロイヤルがむかし飼っていた、トゥインクルにそっくりだっていうわんこのこと?」

ロイヤル「うん。やっぱりそっくりだなぁって思うよ。もしかしたら、遠い親戚だったりするのかもな?あと、おれが今こうやってユキと歩いてるのは変な感じだな、とか考えてた」

ユキ「えっ。わたし、変かな」

ロイヤル「そうじゃなくてさ。おれは今まで、兄弟から離れて友だちとそぞろ歩くことなんてなかったからさ。こうやってユキと遊んでるのが、ふしぎな感じがする。あと、おれが今飼ってる犬のことも考えてた。おれがバイトでバタバタしてる間はサンマイシューノに預けてるんだけど、トゥインクルを見てると、うちの犬にも会いたくなるんだ」

ユキ「その気持ち、わかるな。ほかの犬に【ウワキ】した時って、うしろめたいよね」

ロイヤル「うん。今夜おれがトトを迎えに行ったら、匂いを嗅がれまくってヤキモチ焼かれる気がする」


(※そのトトは、こちらです)


(※ロイヤルがバイトしている間のお留守番を避けるため、トトは現在、ポーラスターとクラリッサのツテで、カー家に預けられています。兄姉に代わってトトのお世話をしているクラリッサは、誇らしげで嬉しそうです)


(※カー家には、バンビという女の子がいます。トトにとっては、この「小さな子ども」という生き物が、なかなか興味深いようです)


ロイヤルとユキちゃんがおしゃべりしていると、トゥインクルが駆け出しました。

ユキ「…………!トゥインクル、待って!どこ行くの!?


トゥインクルがやってきたのは、いつかどこかで見たような池。

昨夜、この水面にふしぎな女性が浮かんでいたことを、ロイヤルもユキちゃんも知りません。今は、だれもいないようです。


トゥインクルは熱心に岸辺のにおいを嗅ぎ、いちいち振り返りながら、ユキちゃんとロイヤルが追ってくるのを待っています。

ユキ「トゥインクル、どうしたの?何かいる?……どうしたんだろう、リスでも隠れてるのかな」


ユキちゃんとロイヤルは、あちこちの茂みを覗き込んだり、トゥインクルの頭をなでたり、さもわかったようにしきりと頷いてみたりして、トゥインクルの言い分を理解しようとしました。

が、結局トゥインクルを惹きつけたモノが何だったのかは、わかりませんでした。ふたりは困りはて、やんちゃな犬をなだめたり諭したりして、池を離れました。

ユキ「じゃあね。きょうはありがとう、ロイヤル。あしたはアルバイト、おやすみなんでしょ?」

ロイヤル「うん。またあさって、この街に来るよ」

ユキ「ロイヤルのアルバイトが終わる頃、お店に行ってみる。じゃ、またね!」


そしてロイヤルはバスに乗り、サンマイシューノへ。

マダム・メルローズ・カーにお礼を言ってトトを受け取り(※クラリッサはまだ下校していませんでした)夕方、ストレンジャービルに帰ってきたのでした。

ロイヤル「うわぁ。やっぱりトトに、すごい勢いで匂いを嗅がれる。トゥインクルの匂いが付いてるんだろうな。トト、わかってるって。いつだっておまえが一番だよ!」

しかし、トトは聞いていませんでした。
忠犬は眉間にシワを寄せ、理解に苦しむというような顔でにおいを嗅いで、坊っちゃんのそばを離れません。

ロイヤル「トト、どうしたんだよ?おまえのクッションに、ペットヒーターを入れておいたんだぞ?うちの暖房が壊れてる間は、おれのそばに寝そべるんじゃなくて、ヒーターにくっついててくれよ。それとも、おれのベッドに入りたい?おれの布団にゆたんぽはないけれど……」


坊っちゃんは布団をめくって、トトを自分の寝床に入れてやりました。

トトはぴょんとジャンプして坊っちゃんの枕もとに乗り、くるくるとまわってから落ち着きました。しかし、坊っちゃんが寝入ったあと、ひらりとベッドから飛び降りて……

……ただじっと、坊っちゃんの様子を【見張って】いるのでした。



異変が訪れたのは、時計が深夜零時を示したときでした。

部屋の照明が明滅したかと思うと、風もないのに、窓ガラスがガタガタと揺れました。ロイヤルは目を覚ましません。坊っちゃんのベッドが真っ白な光を発しはじめ、その光は爆発的に膨れ上がって、部屋全体を満たしました。トトが吠えます。やがて光が収まり、部屋は元の明るさに戻りました。

しかし。


そのときにはもう、ロイヤルの姿は、あとかたもなく消え去っていたのでした。


トト(ぼ……、坊っちゃん……!?)

つづきます!



今回も、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
ユキちゃんとトゥインクルのポーズは、

新生まるきぶねスローライフ 様

よりお借りしております。
すべてのMOD・CCクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and builders!

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