こんにちはー。

今回はまた「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
謎の瞬間移動によってグリマーブルックにとばされた、ロイヤル坊っちゃん。彼はそこでペシミスティという魔女に出会い、梟の刺青の謎について尋ねるのですが、良いようにあしらわれてからかわれるばかり。しかし、魔女は最後に「魔法の国へ行け」という助言をくれるのでした……

それでは、本日もまいりましょう!




「魔法の国への道」を教えてくれたペシミスティは、またもやパタンとドアを閉めて、おうちの中に引っこんでしまいました。坊っちゃんはポカンとしていましたが、その頬に血色が戻り、感謝を込めて叫びました。

ロイヤル「あ……、ありがとう!レディ・ミスティ!」


ロイヤル「……意外と、いい娘(こ)だったよな?ちょっと……いや、かなりワケわかんない娘でもあったけど。おれが最初に【ぺス】って呼んだ時、あんなに怒るとは思わなかったんだ。そんなに失礼だったのかなぁ」

ロイヤルがそう言った途端、バーン!と激しい音がして、彼は飛び上がりました。見ると、おうちのドアがまた開け放たれていて、ペシミスティが仁王立ちしていました。


ペシミスティ「【ぺス】なんて、犬みたいな名前じゃないか!!もし、あんたがあたしを犬として扱うって言うんなら、あたしだってあんたの前では、野良犬になってやるんだからな!あんたの腕に噛みついて、この歯をあんたのブラッドで染めてやるんだからな!覚悟しておけよ、ロイヤル・バーンウッド!!」

ロイヤル「…………!?

名乗ってもいないのに突然名前を呼ばれたロイヤルは、驚愕して息を呑みました。
しかし彼が問い返すより早く、ドアはけたたましい音を立てて閉められ、ペシミスティが三度(みたび)現れることはありませんでした。

ロイヤル「……しかたない、行こう。魔法の国への道を」


ロイヤル「どうしてミスティは、おれの名前を知ってた……?おれが彼女の名を聞き知っていたのとは、事情が違う。グリフィンたちと一緒にこの村に潜んでいた頃、おれは誰とも出くわさないように気をつけてたし、外を歩く時はフードを被って顔を隠してた。おれが何者か知るシムは、この村のどこにも居ないはず。……見えてきた、あれが魔法の国への門か。こんなところにこんなもんがあったなんて、知らなかった」


ロイヤルがポータルに近づくと、リィン……と金属を打ち鳴らしたような音がして、あたりがほのかに輝きました。何か、魔法装置が作動したようです。ロイヤルは手を伸ばして、門の内側にたゆたう「時空の渦」のようなものに触れました。何の異常もないことを確かめると、ひと息にポータルに飛び込みます。

漆黒の闇のなかを真っ逆さまに落ちていくような感覚があって……


目を開けると、そこは不思議な世界でした。



ロイヤル「ここが、魔法の国……。おれの一族のなかでは、お伽話みたいに語られる場所。ノーマンの一族は遥か昔、この国から逃亡した。それでも、すべての魔法使いの魂がいつか還り着く土地だと教えられてきたけど……。来ちゃったな、こんなにあっさりと……」


ロイヤルは五秒見上げたあと、片手で門を押し開け、建物のなかへ踏み入れました。
シムではなくもっと別の、何か小さな生き物のさざめきが、クスクスと漏れ聞こえてきます。誰かが建物にいる気配はあるのですが、誰とも出会いません……。

ロイヤルは思い切って言いました。

ロイヤル「すみません、誰かいませんか……!」

???「……はい

よく通る中性的な声が、そう答えました。とくに感情のこもっている様子のない、形式的な応答です。次に、硬い靴底が石材を踏む音がして……


今、そのシムが姿を現します。


邂逅の時が、訪れました。

ロイヤル「…………!!」

目の前の青年からただならぬ魔力を感じ取り、坊っちゃんはちょっと圧倒されています。青年は、感情のこもらない緑の瞳にただロイヤルを映していましたが……、やがてその口もとが緩みました。


???「綺麗な建物でしょう?建て替えられたばかりなんです。初めまして、ようこそ本部へ。モーギン・エンバーです」

ロイヤル「あ……。初めまして、おれはロイヤル。通称は、ロイヤル・バーンウッド」

モーギン「存じ上げています。ここ(魔法の国)では、あなたはあなた自身が思っているより有名だから。あなた、ペシミスティにお会いになりましたね?」

ロイヤル「…………!!」

有名だと言われたことと、ペシミスティに会ったのを見破られたこと。ふたつの驚きが重なり、ロイヤルの顔に緊張が走りました。


モーギン「警戒しないで。順を追って話します。まずあなたは過去に、お兄様や精霊の女性とご一緒に、グリマーブルックに隠れ棲んでいたことがあったはずだ。その頃この本部は、あなたの父君・エルダーグラス殿からひそかに要請を受けていた。ごく簡単に言えば、あなた方兄弟を監視してほしい、という要請です」

ロイヤルの眉根に再び力が入り、彼は挑みかかるようにモーギン先生を見ました。

モーギン「エルダーグラス殿は多数の使い魔を放ち、あなた方兄弟の足取りを追っていたようだ。そしてついに、あなた方がグリマーブルックに潜んでいると気づいた。父君はあなた方の呪いの魔力が、外界にまであふれ出し、多くのシムを脅かす事態を心配していた。それで【あなた方御一族と本部との、古代の遺恨】をかなぐり捨て、我々に協力を求めたのです。あなた方の呪いが外界に洩れていないか、本部を挙げて監視してほしいと。もうひとつ、彼が我々に求めたことがある。もし呪いが外界に洩れず、あなた方兄弟が平穏に暮らしているのなら、決して手を出さずそっとしておいてやってほしい、と」

ロイヤル「…………?」


モーギン「そう仰った父君のお声は、優しかった」

その言葉を聞いたロイヤルは、ひどく深いため息をついて、掌で顔をこすりました。嫌っている父親への複雑な感情が、その胸の裡で渦巻いています。

ロイヤル「……お手数をかけました」

顔を手で押さえたまま、彼はやっとのことでそれだけ言いました。

ロイヤル「で、ペシミスティのことは……?どうして、おれが彼女に会ったとわかったんですか?」

モーギン「そちらは簡単。さっきあなたと握手させて頂いた時、あなたの掌にペシミスティの魔力が残留しているのを感じたんです。彼女とぼくは同門……つまり、ぼくの妹弟子です。彼女はあなたの手に触れたはず。その時、魔力が移ったんでしょう」


ロイヤル「え……。あ、そういえば」

ロイヤルは思い出して、手を握ったり開いたりしました。ついでに、その手を鼻に近づけて息を吸ってみましたが、魔力の匂いは感じません。これほど微かな魔力の存在に、ただ手を触れただけで気づくとは、モーギン先生の感知能力は相当鋭敏であるようです。

モーギン「どうしましたか?考え込んで」

ロイヤル「……おれが今、ここ……魔法の国に居るのは偶然で、どうしても来たいという強い願いがあってたどり着いた訳じゃないんだ。ここへの道をペシミスティに教えてもらわなかったら、時空の門(※ポータルのことを言ってます)を自分で見つけることも出来なかったはずだし。でも導きを得たおかげで、実際おれは今ここに居て、あんたみたいな凄い魔法使いに会えた。だから、思い切って言ってしまおうと思う。おれは、梟の刺青について調べてます。梟の意匠が持つ魔法的な意味について、何か知ってることはありませんか?」

モーギン「それについては、別の者から話しましょう。まず外へ出なければ。来なさい、バーンウッド」

モーギン先生はロイヤルのことを、ファーストネームではなく称号で呼びました。先に立って歩くモーギン先生を、ロイヤルは追いかけます。本部の前の広場に出ると、モーギン先生は魔法の杖をひと振りしました。


キラキラという、シムではない生き物の笑い声がして、ロイヤルの頭上に小さな生命体が飛び出しました。その実体のない身体から発せられる白い光のまぶしさに、ロイヤルは思わず目を閉じました。

ロイヤル「妖、精……?」

モーギン「彼の名前は、フローズン・ヒース。ここからは彼がご説明しましょう」

つづきます!



今回も、多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!

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