こんにちはー。

本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
血の宿縁を遡り、リノ・ミナキ(フォレスティーナ)の許へ辿り着いたロイヤル。彼と彼を支えるユキちゃんは、リノの真実を知ります。リノは「自分が元居た時代」に還るため、ロイヤルの魔力を吸収しようとチカラを振るいます……!

それでは、本日もまいりましょう!




リノ・ミナキは女神のように手をかざし、ロイヤルの魔力を吸収しようとしていました。掌に吸い寄せられた彼の魔力を握りつぶし、彼女はひと息に飲み干そうとします。

ロイヤル「リ、ノ……!


ロイヤルはギリギリと音を立てて首を起こし、締め上げられる身体をムリに動かしました。何があっても屈服だけはしない、というように、先祖である女を睨み上げます。

その様子を冷然と見下ろし、リノは強力な魔力を振るい続けました。

しかし。

リノ「…………!!


痛みのなかで激しく思考し、せめてユキちゃんだけは逃がそうと思ったロイヤルが、倒れているユキちゃんへと必死に手を伸ばした一瞬……、リノの目が大きく見開かれました。ロイヤルの瞳の奥に、何か驚くべきものを見つけたとでもいうように、彼女の表情が恐怖に引きつりました。

リノ「ユビ・ミナキ!なぜ、ここに!

ロイヤル「…………!?」


リノはどうしてか、激しい動揺を見せました。彼女は思わずといった様子で手を振り払い、結果的に魔力の制御を失いました。彼女自身の魔力と、吸い上げられたロイヤルの魔力……ふたつが行き場を失い、「ばちんっ!」と音を立てて空中に飛散します。

魔法が解け、ロイヤルの身体は自由を取り戻しました。彼は草の上に、うしろ向きに倒れ込みました。


ユキ「う……。ユビ……ミナキ……?誰……?」

意識を取りもどしたユキちゃんが、朦朧と呟きました。そして彼女は、かたわらに倒れているロイヤルに気づきました。

ユキ「ロイヤル!ロイヤル、しっかり……!」

ロイヤルは目を開け、長い息を吐きました。


ロイヤル「…………。平気、生きてる……。ユキ、ケガは?」

ユキ「大丈夫。わたしは全然大丈夫だよ。よかった……!」

ユキちゃんの手を借りて、ロイヤルは半身を起こしました。ユキちゃんは泣きそうな顔でロイヤルの頭を抱き寄せ、トトもまた飛びついて彼の頬を舐めました。ロイヤルはぼんやりと、されるがままになっています。ロイヤルとユキちゃんは身体を離し、トトを下がらせ、黙ってリノを見上げました。


冷酷な魔女は、怒りと悲しみに身体を震わせていて、これ以上ロイヤルたちを痛めつける気はないようでした。その感情に手でさわれそうなほど、彼女の心が激しく揺れ動いているのがわかりました。

ロイヤル「ユビ・ミナキ……。英雄ライオネル・トワイライトの、一番下の妹の名前だよ。ライオネル・トワイライトは自らの魔力に押し流され、妹のユビをむごく殺した……。そしてその時、ユビに襲いかかったライオネルを止めようと、ライオネルの妻が夫に立ち向かったという言い伝えがある。信憑性の薄い、伝説のたぐいだと言われてた。一説には、むしろライオネルの妻は、夫に加担したとさえ言われてた。でも」

ロイヤルは、痛みの残る頭を手で支えながら、ユキちゃんに説明しました。そして、目の前に立ち現れた真実を、あらためて見つめました。


リノ「なぜ、倒せない……?わたしはなぜ、この少年を倒せないのです。よりによってこの少年の奥に、あどけないユビの面影を見るなんて!」




リノは気の高ぶりを持て余し、握りこぶしを自分の太ももに打ちつけました。その呼吸は乱れ、その肩はひきつけを起こしたようにわなないています。彼女がここまで感情をあらわにするのは、初めてのことでした。


リノ「……ユビ・ミナキを救えなかったあの黄昏、わたしは、二度と後悔だけはしないと決めたのです。妹君を殺すしかなかった哀れなあるじを、わたしこそが支えると誓ったのです!それなのに、なぜ今迷う?なぜ怖れる!ユビはもう居ない。守ることが出来なかった。わたしが今見たものは、幻に過ぎない……!わたしは、この少年からわたしのチカラを取り戻し、あるじのもとに還らなければならないのに……!!

彼女の心を覆っていた氷にヒビが入り、音を立てて砕け散ってゆきます。彼女は伏せていた顔を上げると、涙の混じった目で、ロイヤルを睨みつけました。


リノ「あなたが我が一族の子だと知りさえしなければ、こんな迷いは生まれなかった……!わたしが愛した男の一族。ユビ・ミナキと同じ、愛すべき子。ミナキの一族を支え、仕えることが、わたしの唯一の誇りでした。ロイヤル・バーンウッド、わたしはあなたに敗れた訳ではない。あなたの血に、敗北したのです……!

ロイヤル「…………!」


ロイヤルは胸を衝かれて言葉を失い、先祖たる女を見つめていました。
やがて、彼の隣でユキちゃんが立ち上がり、静かにリノのほうへ歩み寄りました。

ロイヤル「ユ……!

リノ「…………?」


ユキ「……手を見せて。血が出てる」

訝しむリノに、ユキちゃんがそう言いました。その声は限りなく穏やかで、そして悲しそうでした。


ユキちゃんはハンカチを取り出し、魔力の酷使によって傷ついたリノの手を、丁寧に拭いました。もう一枚、清潔な予備のハンカチを出して、包帯のようにリノの手に巻きつけます……。

ユキ「フォレスティーナ、一緒に帰ろう?ウィンデンバーグへ……」

つづきます……!


今回のポーズ

SSの2枚目(頭を抱えるロイヤル)
SSの3枚目(目を見開くリノの顔半分)
SSの7枚目(横を向く、怒りのリノ)
SSの8枚目(横を向く、怒りのリノ。7枚目と同一)
SSの10枚目(崩れ落ちるリノ)
SSの11枚目(睨みつけるリノ)

以上6枚のポーズは、


よりお借りしました。
ありがとうございます!

尚、

SSの1枚目(半ば握られた手)
SSの5枚目(倒れているロイヤル)
SSの13枚目(手を差し伸べるユキちゃん)

以上3枚のポーズは、自作でございます。

今回も、たくさんのMOD・CCのお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators!

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