こんにちはー。

本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
2回に渡って、グリフィン・ポーラスター側の動向を追いかけてみましたが、今回からまた、視点をロイヤルに戻します。リノ(フォレスティーナ)の生命を維持するため、自分の心の扉を閉ざして、彼女からの魔力の流入を防いでしまったロイヤル。しかしそれは、魔力の枯渇しているロイヤル自身にとって、生命の危機を意味しました。彼はこの難局で、何を思うのでしょうか……?

それでは、本日もまいりましょう!




春の朝、ストレンジャービル。
グリフィン&ロイヤルのお庭では、坊っちゃんが白い顔をして横たわっていました。
風が吹くと、髪やまつ毛が震えますが、坊っちゃん自身は身動きしません。彼が衰弱しているのは、明らかでした。

…………。
……………………。

ロイヤルがあまりにも動かないため、警戒を解いたスズメが一羽、お庭に降り立って地面をついばみました。可愛らしい鳴き声に、ようやくロイヤルの瞼が上がり、薄い胸が大きく上下しました。


ロイヤル「……いつのまにか、朝になってる。寝てたのか……。さむっ……。どうして、こんなところに居るんだっけ……?そうだ。昨夜バイトから帰ってきて、部屋に上がるのがしんどくて、ここで休んでたんだ」

少年の衰弱は、確実に進行しています。

それでも彼は、ギシギシ言う関節を伸ばし……、平然と立ち上がりました。
歯を磨き、顔を洗い、いつも通りに一日を始めます。


階段を下りて……


いつものように、お茶を飲みます。

このまま、「身体に魔力の足りない状態」が続けば、どうなるのか。

そのことを、彼は正確に理解しているはずでした。しかし、彼が誰かに助けを求めたり、相談しようとしたりする様子はありません。彼は頑なに、事態をひとりで解決しようとしていました。

ロイヤル「……?何だ、これ。ボール箱の横に、何かある」

お茶を飲みながら足許を見て、彼はふいに呟きました。


ロイヤル「……これ、グリフィンの絵本だ。タイトルは……【ライオネル、さいごのぼうけん】。知らなかった。この本、ライオネル・トワイライトの英雄詩を基にした童話なんだ」

え……?絵本?
グリフィンが本好きなのはプレイヤーも知っておりますが、彼は絵本も収集しているのでしょうか……?

ロイヤル「ん?あ、違うよ。大量の絵本は、グリフィンの子供の頃の持ち物だ。森の家に閉じ込められてた頃のグリフィンは暇を持て余してたから、ポーラスター姉さんが定期的に、絵本を贈ってた。お姫様の本とかも混じってたから、グリフィンは読んだり読まなかったりだったけど……、貰った絵本は全部、大事に持ってたらしい。こんなところに置いてあったんだな……」


ロイヤル「……【ライオネルは黒い馬にまたがり、どうどうと流れる河にとびこみました。ライオネルのおくさんは角笛をふきならし、戦士たちをはげまします】……やっぱりこれ、【大河川のライオネルの歌】だよ。ライオネル・トワイライトの妻は……見てよ、優しそうで小柄な女として描かれてる。……はは。本当のリノとは、全然違うな」

ロイヤルはそう笑いながら、寂しそうに顔を歪めました。
絵本のページを、最後までパラパラとめくりながら……

ロイヤル「ライオネル・トワイライトとリノの間に生まれた子供は……だめだ、この本には出て来ないな。……おれ、リノの息子がどう生きたのか、そのことが気になるんだ。恢復戦争の末期に両親を失ったあと、その子がせめて幸せに暮らしたってことが分かれば……今おれたちと一緒に居るリノの心も、休まるんじゃないかと思ったんだけど」

ロイヤルは言葉を切り、ちらりと本棚に目をやりました。

ロイヤル「グリフィンの蔵書のなかに、もっといっぱい昔話の本がありそうだ。探してみよう。……理想を言うなら、今すぐ一族の屋敷に帰って、図書室をあさればベストなのかもしれない。でもおれ、それだけは決してしない、って決めてるんだ。屋敷に帰って、グリフィンやポーラ姉さんが今のおれを見たりしたら、きっとおれを助けてくれようとする。それじゃ、だめなんだ」


ロイヤル「ちっちゃい子供だった時……おれはグリフィンを妬んで、その魔力を盗み取った。おれはそれからずっと、おれ以外の誰かに寄りかかって生きてきたと思う。今それをやめなければ、おれは一生、自分の力で歩けないガキのままだ。あまったれの卑怯者のまま生きるのか、それともここで、魔力を失って斃(たお)れるか……考えなくても、答えは出てる。ここで死ぬほうが、何倍もマシだ」

気性の烈しい少年は、大人へと脱皮しようとして、もがいていました。
極端なほど思い詰めているのですが、彼は心底本気であり、既に決意してしまっているのです。

ロイヤル「おれが消えても、おれの魔力はリノの身に残る。その魔力で、彼女は生きることが出来るんだ。それで充分じゃないか」

…………。
……………………。

ふいに、ロイヤルのポケットで携帯電話が鳴り、彼はビクッと身体を震わせました。


ロイヤル「びっくりした。グリフィンから掛かってきたのかと思った。おれがグリフィンのこと考えてたのが、伝わったのかなって。グリフィンがいくら天才でも、そんな訳ないよな?……ユキから電話だ。何かあったのかな……。もしもし?


ユキ「あ、ロイヤル?おはよう、身体は大丈夫?……うん……うん。あ、ううん。こっちは、心配することは何もないよ?じつはね、ウィンデンバーグの外れの緑地で、映画の上映会があるの!」

ロイヤル「上映会?」

ユキ「うん!ほら、ウィンデンバーグの映画館は今、改装中でしょ?それで、映画を愛するシムたちがフィルムに飢えちゃって、有志の方々が野外上映会を開くんだって!面白そうでしょ?フォレスティーナを連れて、行ってみようと思ってるんだけど、ロイヤルも来ない?」


(ユキちゃんが用意したお洋服を着て、リノもお出かけ準備は万端です)


(リノは珍しく、靴も履いているのです)

ロイヤル「外で映画なんて、珍しいお祭りだな?いつ?今日?」

ユキ「上映会は、今日の二時から!もっと早くお知らせできればよかったんだけど、わたしも今朝貼り紙を見て知ったところなの。急でごめんね?」

申し訳なさそうなユキちゃんの声に、ロイヤルの目が優しくなりました。

ロイヤル「行くよ。今からバスに乗れば、間に合う。じゃ、あとでな!」

ユキ「はーい!」

電話を切ったロイヤルは、いくらか明るい顔になっていました。

ロイヤル「グリフィンの本棚を覗くのは、帰ってきてからにするよ。ユキは、おれとリノを元気づけようとしてくれてる。おれ、ユキの気持ちには全部応えたいんだ。あ、バスのなかでグリフィンにメールして、本を見てもいいかどうか訊かなくちゃ。字を読むのが苦手なおれが【本を貸してくれ】なんて言ったら、グリフィンは腰抜かすだろうな……?」

そんなことを言いながらお出かけの準備をして、ポーチの階段を軽快に駆け下ります。


まぶしい日差しが降りそそぎ、ロイヤルは空を仰ぎました。
その表情が静かになり、横顔に透明な光が宿りました。彼は口には出さず、心のなかで思いました。

ロイヤル(いつだって、太陽はこうして変わらず燃えている。たとえおれが斃れても、たとえ世界が滅ぶとしても……。おれがひとり消えたくらいじゃ、世界は何も変わらない。だとしたら、おれが直面してる問題なんて、大したことないはずじゃないか。でも……

太陽光がまっすぐ虹彩を射抜いて、彼は目を細めました。

ロイヤル(でも……、自分の浅ましさがイヤになることもある。おれは、本当は恐れてるんだ……自分が消滅することを。リノの命を救って、おれも助かる……そんな、手品みたいな方法がないかと夢見てる。誰かがおれの代わりに、すべてを解決してくれないかって、願ってるんだ。おれは今も、臆病な卑怯者のままだ……)

少年の悩みは深刻さを増していきますが……
つづきます……!



今回のポーズ

SSの12枚目(空を仰ぐロイヤル)

以上1枚のポーズは、
新生まるきぶねスローライフ
よりお借りしました。いつもありがとうございます。

尚、
SSの1枚目(デッキチェアのロイヤル)
SSの2枚目(デッキチェアのロイヤル、アップ)
以上2枚のポーズは、自作です。

今回も、たいへん多くのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS/CC creators and all builders!

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